成田といえば、成田山新勝寺を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、見どころは新勝寺だけではありません。成田には、訪れる方々をおもてなししようと活動している人達も沢山いるので、ぜひ彼らのことも知っていただきたいのです。
ここでは、そんな彼らを「ナリタノヒトビト」としてご紹介します!
初回のゲストは、成田の「はしらデリ&カフェ」のオーナー藪さん。
「ナリタノヒトビト」には、成田という街を大切にして、情熱を持つ人たちがたくさんいます。
ぜひ成田に来たら訪れてみてくださいね。
―それでは、簡単に自己紹介をお願いします!―
成田の駅前で「はしらデリ&カフェ」というお店を営んでいます。
成田の駅前は家賃が高いせいか(笑)チェーン店ばかりで、昼にゆったりとできる場所が多くありません。
そこで、観光客をおもてなしするためと、地元の方に豊かな時間を過ごしてもらいたいと思い、実家を改装してカフェにしました。
―成田で活動されていますが、どうして始めたのでしょうか?―
成田は歴史ある街なのですが、街並みは時代の流れとともにどんどん変わっていってしまい、寂しさを感じていました。そこで私達は、古い建物を新しく立て替えて、人に貸すことをせず、昔ながらの良さを生かしてカフェを作りました。
そうしてお店も安定してきた時に、自分たちの商いだけでなく地元の人間として、どうすれば成田という街に愛着を持つ人たちを繋げ、その想いを広げて育められるか考えるようになりました。
その結果、このカフェを単なる飲食店ではなく、コミュニティーの場所として生かしていこうと思い立ったんです。
この取り組みによって、私達発信のイベント等を開催するだけでなく、何かをしたいと思いがある方に場所を貸したりすることで、いろんな交流が生まれたと思います。
ですが、圧倒的に場所が足りない。
ここだけでなく、若い人たちや思いがある人たちが活動できる場、想いを形にできる場所をもっともっと作っていかなければならないと思い、まずは仲間を集めたいと「ナリタカイギ」を立ち上げました。
月1で開く「ナリタカイギ」は交流会でもありますが、一方で勉強会でもあります。
街をより良く変えたい、と思って何かをしようとしても、一カ所だけではその場限りです。
たくさんの点があり、点と点が結び付き線になり、輪になっていく。
そういった動きはやはり私ひとりでは限度があり、みんなが自分事として個々に活動していかなけば結局独りよがりで終わっしまうのでやはりより多くの方々の力が必要なんだと感じています。。
―はじめてみて、今までどんな感触ですか?―
やはり成田には思いがある人が多い!話してみなければわからなかった勘違いや思い過ごしもありますが、結局はみんな地元が好きなんじゃん!って思えました。
ただ、色々なしがらみや弊害がもどかしすぎるほどあり、行動しても簡単に結果が出ずに切なくなるようなこともありました。
ですが、仲間や繋がりも多くできましたし、街にはそれぞれの問題点がありますが利点も沢山あるので、それを見極めて進んでいければと思っています。
なにより、楽しまないと!疲れて諦めてしまっては、どうしようもないので(笑)。
―今後オリンピックなどのイベントで、ますます訪日外国人観光客が増加していくであろう成田。未来に向けてどうしていきたいですか?―
もともと先代の祖母がお蕎麦屋さんを営んでいた際、当時は今のように外国人クルーが遊べる場所はありませんでした。
そこで、お店の一角を使って営んでいた和紙の小さなお店をきっかけにして、英語が得意だった母が、夜にクルーの方が集える和紙の教室を作ったのです。
それは、仕事で疲れた人達が家族もいない無機質なホテルに帰ってくるのは寂しいだろうから、と集える場所を作ったとのことで、材料費のみでおもてなししていました。
今「はしらデリ&カフェ」では午前中はクルーの方で一杯です。
彼らの朝ご飯を作っているからです(笑)。
どうしても本格的なエスプレッソマシーンで淹れるコーヒーが飲みたいとのことで、10時オープンだったのがどんどん早まり、今となっては7時半から開いています。
そして毎週来てくれるクルーに目を合わせて、いつものね、って淹れてあげるんです(笑)。
そうやって仕事でも観光でも、海外に出向いた時こそお帰りといってくれる場所はどこにでも必要だと思います。
おもてなし、って温かい言葉なのに日本よがりの派手なイベントも多くみられて…だからもっと日本人の日常を見せることが必要だと思います。
旅行慣れしている方ほど現地の日常を知りたがります。
単なる思い出作りだけでなく、せっかく日本に来てくださった外国の方に用意するのは、もっと地元の人と触れ合えるような、本当の意味での国境を越えた交流ができる場所作りではないかと思います。
―ありがとうございます。最後に何かあれば!―
成田は空港が隣にあるのになんだかもったいない、と言われている場所です(笑)。
ポテンシャルを生かし切れるように、若い人たちがスタートできるように、皆で想いを形にできるように、楽しんで活動したいですね。
もっと尖ったことを、面白がりたい。それを地元でやっていきたいです。
はしらデリ&カフェ オーナー
藪 依里子
学生時代にバックパッカーとして、たくさんの国に訪れる。その後都内の旅行代理店に就職するが、地元で何かできないかと思い立ち、成田に戻り成田空港に勤務する。結婚後、パートナーとお互いの実家の良さを活かして何かできないかと考え、自身の実家をカフェに改装し、「はしらデリ&カフェ」をオープン。旦那の実家で生産したお米をお店で出し、地元民だけでなく観光客にも愛されるお店を目指す。