成田といえば、成田山新勝寺を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、見どころは新勝寺だけではありません。成田には、訪れる方々をおもてなししようと活動している人達も沢山いるので、ぜひ彼らのことも知っていただきたいのです。
ここでは、そんな彼らを「ナリタノヒトビト」としてご紹介します!
今回のゲストはアーティストのシムラユウスケさん。これまで成田空港圏にも数々の作品を残しているシムラさんの活動と、思い描く成田の未来について、詳しくお話を伺いました。
ーシムラユウスケさんの活動について教えてください。ー
アーティストとして現代アートのフィールドでドローイング、写真、ペインティングと多面的に作品を発表し活動しています。活動は国内外に渡りますが、赤いマントをつけた白いウサギの夢と希望のヒーローのキャラクター「ふわり」は作品だけではなくアートプロジェクトとしても展開しています。
出身がここ成田空港圏でもあることもあり、アーティストとして作品を発表することに加え、これまでこのエリアになかった現代アートに触れることができる成田空港圏初の現代アートプロジェクト「ふわりの森」を2014年に立ち上げて、ディレクターとしてもアートプロジェクトを手掛けています。
ー「ふわりの森」とはなんですか?ー
成田は日本ではもちろん、海外からも知られている場所です。そこで、これまで現代アートを体感する場がなかった成田において、「成田空港から、都心から、地域からアクセスできるアートエリア」の誕生に向けたのがふわりの森です。僕らはアーティストですので、アーティスト主体のアートプロジェクトとして「ふわりの森」を展開し、その中核を担うアーティスト・イン・レジデンスをスタートしました。
アーティスト・イン・レジデンスでは国内外の注目のアーティストを成田に招聘し、アーティストが滞在制作を行いパブリックアート(壁画など)を完成させていく。第一弾(2014年)のアーティストには村上隆率いるカイカイキキから佐藤 玲を招聘し、アート作品の制作、そこから地域の小学校とのコラボもはじまり10年目を迎えた今では多くの学校の参加、多くの子どもたちも作品に参加しアート作品をつくってきました。
アーティストの成田での滞在がこのプロジェクトのアートを広げていくので、都内では美術館で観るアーティストもふわりの森では隣の席にいる、アーティスト主体だからこそできる独創性を大事にしています。
そして10年目を迎え、今回はバンコク(タイ)からアーティストのファーンピーティを招聘し、成田山の滞在視点を切り替える絵画を制作したりしています。
ーこれまでのご経歴やお取り組みを教えてください。ー
アーティストとしては20代の前半からスタートしていて、東京、ニューヨークからはじまり海外での活動も20代からでした。周りに比べても早い時期に出ることができ、作品も売れていく中で個展やメディア、雑誌、吉田カバン、アップルストアなどとのコラボレーションなど多くの人と関わりいまに至っています。
同時にその時点から海外での活動も視野に入れていました。当時は東京から海外に向かうので、成田空港に向かう前には前泊していて、徐々にふるさとのNARITAが東京ともう一つの拠点にもなっていました。同時に、ニューヨーク・ミラノ・中東と活動してからアジアでの展開の広がり、そこで多くのアーティストと出会ってきました。
そこで日本で受け入れられる場を開くべく、成田空港圏の現代アートのプロジェクト「ふわりの森」を開いたんです。アーティストとして、ディレクターとして、2面を持ちながら自身でこのプロジェクトをプロデュースし作り上げました。
ー成田空港周辺エリアで好きなスポットはありますか?ー
下総松崎(成田市)が大好きですね。ふわりの森の拠点でもあり、自身のアトリエ、ギャラリー、カフェもこの場所に構えています。本当に第二の故郷でもあるぐらい自分にとって思い出もたくさんできています。ここのロケーションは、農村部でビルもない環境ですし、田んぼの景色や温泉もあり訪れてくれる多くの人がこの場所に感動して好きになってくれるのがいつも嬉しいですね。
好きな場所はたくさんあります。成田空港はいつも世界への挑戦の出発地でもあり好きですし、出身でもある栄町も同じく大好きな場所です。JR安食駅のアートエレベーターで町(栄町)とコラボしたりと故郷の駅のランドマークを担わせてもらえていたり大切な場所ですね。
「ふわりの森」のプロジェクトは成田空港圏の9市町(成田・栄町・芝山・香取・横芝光町・多古・神崎・山武・富里)にアートを広げて、世界中の人が成田空港に到着してからアートを目的(9市町)に訪れられるようにしたいので、まだまだ好きな場所もたくさんあります。 芝山町も航空科学博物館とのコラボの際には滞在させてもらい本当に大好きな町ですし、横芝光町、香取市も大好きでアートも完成しています。9市町、全部好きですね!
大規模なコラボレーションで一緒にさせていただいているイオンモール成田さんは海外のアーティストが来るとみんな作品(館内・アートエレベーターなど)を観に行ってくれてます。アートエレベーターに続き、2025年にはテラスでコラボしたアートオブジェが誕生したり、僕にとっても好きな場所です。
ーこれからの成田の未来に向けて、ご自身はどう行動していきたいですか?ー
"NARITA"を世界中の「目的地」にしていきたいです。
日本でも海外からでもNARITAは誰もが知る場所でもあります。でもまだそこになかった現代アートの場、NARITAに新しい価値をアートで創造し、ふるさとでもあるここに世界中から多くの人が集まる未来を作りたいです。
ふわりの森のコンセプトでもある「”NARITA”の文字の中にあるA/R/Tを創ること」がそのかたちになります。「NARITAへARTを目的の旅をする」が日常になるように、「ふわりの森」があり、自身の活動とNARITAの文字の中にあるARTを"discovery"(発見)するための展覧会を開催し、芸術祭の一過性のものではなく、ここに在るものとして未来につなげていけるように責任を感じながら行動をしていきたいです。
世界中の空港で見る日本行き、「TOKYO/HANEDA」には無いが、「TOKYO/NARITA」にはARTが在るという未来にをつくって、その先にはこれまで一緒に携わってきた多くの子どもたちがふるさとを担ってくれるのを楽しみにしています。僕自身はそのバトンを渡すことが一番の役割だと思っていますし、多くのみんながふるさとを好きになってくれたら嬉しいです。なので、今もこれからもみんなの未来になるよう行動し創りあげていけたらと思ってます。