日本の玄関口としての役割を担う成田国際空港。
2020年初頭に歴史的な感染拡大を引き起こした新型コロナウイルスと、世界最大級の祭典オリンピックという史上はじめての組み合わせの中にある日本の玄関口の様子を、今後のために記録しておきます。
取材した2021年7月は、下記のような社会背景がありました。
・国際線の旅客数が2019年同月比で96%減という2021年5月のデータにもあるように、新型コロナウイルス蔓延により、成田国際空港は多大な影響を受けました
・新型コロナウイルスの影響で延期された東京2020オリンピックが7月23日に開幕します
・東京都に対して4度目の緊急事態宣言が発令され、都内で行われるオリンピックの各種競技は無観客で行われることが決まりました
東京オリンピックと新型コロナウイルス。
そのふたつと密接に関わっている成田国際空港のターミナルを、くまなく歩き回ってきました。
成田国際空港には3つのターミナルがある
成田国際空港は第1ターミナル~第3ターミナルまで3つのターミナルがあります。
大まかに分けると、第1ターミナルが「スカイチーム」と「スターアライアンス」系列、第2ターミナルが「ワンワールド」系列、第3ターミナルがLCCの航空会社のターミナルとなっています。
すべてのターミナルで国際線の扱いがあります。
今回は空港内循環バスの流れに沿って、
第2ターミナル→第1ターミナル→第3ターミナル
の順番で巡りました。
第2ターミナル
まずは第2ターミナルから。
成田空港までは京成線で移動しました。
空港第2ビル駅
第2ターミナルと第3ターミナルの最寄り駅であるこちらの駅。
改札を出るとすぐに、入国者に向けた注意喚起の張り紙が目立つ場所にしてありました。
平日の2時頃に到着しましたが、人影はまばらです。
旅行客らしき姿はあまり見られません。
改札横にある両替所やレンタルWi-Fiのカウンターは閉まっていました(到着フロアでは開いているところもありました)。
第2ターミナルの出発便と到着便の一覧です。
予想よりも運航している便数が多いな......と思いましたが、よく見ると運休となっている便も多く、実際は数えるほどしか運航していません。
まだお昼過ぎなのにこのような状況とは、とてもオリンピック直前の国際空港とは思えません。
国際線到着ロビー
まず向かったのは1階にある国際線到着ロビー。
通常であればフライト終わりの旅客やお出迎えの人、旅行会社のアテンダントなどで混雑しているイメージのある場所です。
ちょうど着陸の時間と合わなかったこともあり、人の姿はありません。
オリンピックのロゴとワックスで磨かれた床が、大会前の整備されたアイススケートリンクを思わせます。
2022年の冬季オリンピックが開催される頃には世界はどうなっているでしょうか。
国際線出発ロビー
到着ロビーを見た後は出発ロビーへ。
こちらにもほとんど人がいませんでした。
まるでフライトがすべて終了した深夜帯の出発ロビーのようです。
心なしかフロア全体が薄暗く感じました。
ふたつあるうちの保安検査場につながるゲートも、片方が閉鎖されていました。
レストラン・ショップエリア
出発ロビーの上にあるこちらのエリア。
お店によっては時短でオープンしているところもあります。
エリア全体を見て回りましたが、やはり人影はまばらで、旅行客らしき人はあまり見当たりません。
場所によってはシャッター通りになっているところも。
オリンピック特設デスク
到着ロビーの端にはオリンピック関連の特設デスクが設置されており、その付近は少しあわただしい感じが見受けられました。
なんだか少しほっとしてしまいます。
PCRセンター
第3ターミナルへの連絡通路の横にはPCRセンターがあり、ここではテストの結果を即日受け取ることができます。
中を覗いてみると、予想以上に混雑しており、検査を待つ人たちが列をなしていました。
キャリーバッグを持った、出発前の装いをした外国人もたくさんいました。
入国者用バス乗り場
2021年7月現在、日本へ入国した人は、基本的に14日間の隔離をすることになっています。
また、空港から隔離施設への移動手段は、公共交通機関を使うことができません。
そのため、空港から各ホテルまで送り届けてくれる専用のバスが用意されています(行先はインフォメーションデスク等で要確認)。
このバス乗り場は第1ターミナルにもあります。
その他施設
空港第2ビルから少し離れたところにあるペットホテルは一時休業中でした。
ペットホテルのすぐそばにあるカプセルホテルは営業しており、客室は1/3ほどが埋まっているとのことでした。
第1ターミナル
第2ターミナルから循環バスに乗って第1ターミナルへ移動します。
循環バスの中も自分以外は数人の空港関係者のみでした。
国際線到着ロビー
こちらもスケートリンク化していました。
時々奥の自動ドアが開いて出てくるのは、オリンピックか空港関係者です。
第1ターミナルのオリンピック特設デスクは到着口のすぐそばにあります。
国際線出発ロビー
上の階に移動して出発ロビーへ。
いつもにぎやかな電光掲示板の空白が目立ちます。
チェックインに並ぶ行列や、大型のキャリーケースを引きながらアテンダントに引率される集団も、今は見る影もありません。
レストラン・ショッピングエリア
これらが第1ターミナルでオープンしているお店の一覧です。
第2ターミナルと比べて、衣類や雑貨のお店が多く開いている印象を受けました。
レストランエリアで一番人の多いところがこちら、マクドナルド前のフリースペース。
到着したばかりの旅客が数人休んでいました。
PCRセンター
第1ターミナルにあるPCRセンターは第2ターミナルと比べると少し小さめです。
何人か順番待ちをしている姿が確認できます。
見学デッキ
雨は降っていなかったので、見学デッキにも出てみました。
家族連れやカップルが距離を取りながらベンチに座っていたり、フル装備のカメラマンがいたりと、観光客や趣味で来ているような人が多い印象です。
クレジットカードラウンジ
ラウンジにも足を運んでみます。
利用客は自分ひとりで貸切状態。
感染対策のため、座席間の近い椅子は利用できないようになっています。
ラウンジ入室前に検温と消毒が求められます。
その他施設
キッズパークは閉鎖されていました。
利用者はいなかったものの、礼拝室は開いていました。
第3ターミナル
再び空港内循環バスに乗り込み、最後の目的地である第3ターミナルへ向かいます。
出発ロビー
第3ターミナルは国内線も国際線も同じフロアに出発/到着ロビーがあります。
ただ、国内線も通常時と比べると減便されているため、ロビーにあまり活気はありません。
フードコート
第3ターミナルといえば広大なフードコートがあります。
こちらにもあまり人はおらず、より広さを感じさせます。
いくつかシャッターが閉まっているお店はあるものの、これまでのふたつのターミナルよりオープンしているお店の割合は多いかもしれません。
保安検査場前
保安検査場前では、入場前の消毒・検温が徹底されています。
非日常×非日常
オリンピック直前の成田国際空港ということで、なにか特別なものが見れたりするかも、と少し期待して3つのターミナルを巡りましたが、想像以上に人が少なく、別の意味で貴重な様子を確認することができました。
ワクチン接種が普及しつつありますが、まだまだ世界的にみても安心できる状態ではありません。
早く平穏に旅行に行くことのできる日々が来ることを願います。