成田といえば、成田山新勝寺を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、見どころは新勝寺だけではありません。成田には、訪れる方々をおもてなししようと活動している人達も沢山いるので、ぜひ彼らのことも知っていただきたいのです。
ここでは、そんな彼らを「ナリタノヒトビト」としてご紹介します!
今回のゲストは、成田市議会議員の眞野義行さん。2023年4月に行われた成田市議会議員選挙で当選され、現在2期目です。眞野さんが感じる成田の魅力と、現在、そして今後の活動について、詳しくお話を伺いました。
ー現在の活動内容をお聞かせください。ー
活動のスローガンは「成田を真の国際都市にする」「こどもは地域で育てる」の2つで、1期4年間活動してきました。でも、まだかなり足りないところがあって、特に外国人との共生が実現している多文化共生社会・都市づくりを進めていきたいと思っています。
成田市は国際空港がある都市なのだから、その地の利を生かした共生社会を実現している都市であるべきだと思っていて、これがメインの活動です。
ーそういった活動をされるに至った経緯を、来歴を含めてお伺いできますか。ー
私は元は中学校で英語教師をしていました。実は成田の子ども達の英語教育は、日本でも最先端の教育なのです。何が最先端かというと、教育特例校という教育特区の指定を約20年前に文科省から受けていて、小中学校すべてにALT(編集部注:Assistant Language Teacher。外国語を母国語とする外国語指導助手)が配置されています。他の市町村だと派遣会社からALTを派遣してもらうことが通常ですが、成田市は教育委員会が独自に採用しているのです。従って成田市の教育理念に合う質の高い外国人を採用できています。また2人の主任ALTが教育委員会内に常駐しており、ALTの研修会の企画や授業参観など、教育委員会が指導に直接当たれます。さらにまじめで研究熱心なALTがほとんどなので、自分たちでどんどん研修して技術を高めています。
でも、その優れた国際教育・英語教育を行ないながらも、中学3年の後半になると、入試準備に入り、文法中心の授業になって、小学校1年生から積み上げてきたコミュニケーション能力を台無しにしてしまう。日本の教育制度の問題だけど、せっかく幼少期から積み上げたものを、大人になっても活かせる都市にしたいと思って、教員をやめて、外から市民の国際教育及びコミュニケーション能力育成を図ってみたいと思ったことが、最大の理由です。
ー共生社会を目指す上で大切にされていることはなんですか。ー
外国人を、観光でお金を落としてくれるだけの存在として考えていたのでは、共生社会の実現は望めません。成田市の外国人登録人口は、今年5月末には7,292人になり、過去最高。人口比で言えば、成田市人口の5.5%を超え、20人に1人は外国人住民。日本全体の比率は約2%だから、その多さがわかりますよね。建設業、ホテルサービス業、農業、製造業等で、日本経済の下支えをしてくれている彼らの存在がなければ、私たちの当たり前の便利な生活が破綻してしまう。
「旅行者には優しいが、住民には冷たい。」これは日本社会の特徴だけど、同じ赤い血が流れている地球人として、異なる価値観、常識、文化・習慣など、お互いの違いを認め合える都市へと成田は成長しなくちゃだめなんです。
そのためには、外国人住民にアンケートを取って、日常生活上の困りごとをきちんと数字を出して検証する。それを元に外国人住民を入れた審議会を作り、外国人の視点に立ったまちづくりを進めるための、草の根活動や人道支援を行なう。これが一番大切です。
ー個人的に眞野さんが好きな成田のスポットを教えてください。ー
空港周辺ではさくらの山公園。子どもが小さいときにはよく連れて行っていましたが、あの頃よりさらに整備されていますよね。目の前に飛行場があって、春なんかは500本くらいの桜もあって素晴らしい。
あと、敷地内にある空の駅さくら館。ご当地の地産地消の農作物とか、有名な長命泉さんのお酒だとか、うなりくんや空港関連グッズを置いていたり。この駅がおすすめなのは、成田の社会福祉法人大成会 かしの木園が、一部業務委託されていて、販売やお店の清掃などを請け負ってやっているので、障害者の方達の就労訓練ができる取り組みをしているということもあります。
ーこれから未来に向けてどう行動していかれるご予定ですか?ー
1つ目は成田市役所1階の市民課フロアに多文化共生窓口を作ること。国際都市を標榜しているのに外国人専用窓口がないのは、本当に恥ずかしいことです。
2つ目は多文化共生拠点を作ること。成田観光館の2階を有効活用し、月1回ユネスコ協会が行なっている日本文化体験「日本の香りをあなたへ」(書道、華道、茶道、着物など)を他の団体と連携して発展させたい。そして観光客だけでなく、住民、留学生、技能実習生にとっても日常的に交流できる成田の多文化共生拠点にしたいです。
3つ目は「おもてなし英語 in 成田」の継続制作。市民の皆さんが、訪日外国人に対して簡単な英語で道案内などができれば、そのおもてなしの心が成田ブランドの向上につながると思います。
4つ目はインターナショナルスクール誘致や国際中等教育学校(中高一貫校)の設置。国際空港がある都市だからこそ、必須の教育施設。海外の優良企業誘致につながると思っています。
ー最後に、みなさんにメッセージをお願いします。ー
歴史と文化伝統のまち成田の魅力を知ってもらうためには、成田山新勝寺は外せないところでしょう。でも、ただなんとなく見学するのではなく、ボランティアガイドの説明を受け、学習を深めてほしい。日本人でも受け入れてくれます。1月の初詣や7月の成田祇園祭は本当に賑わいます。成田山公園の桜祭りと紅葉祭りは本当に素晴らしいです。
宿泊施設としては、学校跡地を利用したReady to flight! NARITAもお勧めですね。体育館も利用できるので合宿や研修にも活用できます。
また外国人専用ですが、成田空港トランジット&ステイプログラムを利用して、日本の伝統文化を体験する機会を持ってほしいです(現在、コロナ禍のため一時的に停止)。